薬剤耐性アシネトバクター感染症

山口県感染症情報センター / 2012.6作成

薬剤耐性アシネトバクター感染症とは

 広域β-ラクタム剤、アミノ配糖体、フルオロキノロンの3系統の薬剤に対して耐性を示すアシネトバクター属菌による感染症です。 アシネトバクター属菌は土壌や水の中など自然環境中にみられる弱毒細菌で、健常者もわきの下、股間、足指の間などの皮膚に保持していることもありますが、 通常病原性を示しません。 感染防御機能の低下した患者には容易に菌が定着し日和見感染(健康人であれば通常感染を起こさないような 平素無害、または弱毒の微生物によって易感染性宿主に感染すること)します。 平成23年2月1日から月単位の基幹点把握疾患として新たに報告対象となりました。

山口県の発生動向について

 2012年3月4月に各1例報告がありました。

症状

 肺炎の他、敗血症、尿路感染症、髄膜炎、創部感染症など多彩な感染症を起こします。

治療

 治療が必要と判断された場合、 抗生物質の投与を行いますが、その選択や投与量については確立されていません。

予防

 通常、感染の流行は集中治療室の患者やその他の重症患者で起こり、医療機関の外で起こることは滅多にありません。 アシネトバクター属菌は環境中で長期間生存し、 汚染された器具や物品、医療従事者の手を介した感染も多いので、 使い捨て手袋の使用と手洗い、消毒の徹底など施設内感染対策も重要です。
【ハイリスク患者】
 集中治療室で人口呼吸器を装着されている患者、慢性閉塞性肺疾患(COPD)・糖尿病・ガンなどの基礎疾患を有する場合など、免疫機能が低下した患者は注意が必要です。
【消毒】
 エタノールや50%以上の濃度のイソプロピルアルコール等のアルコール系消毒薬が有効です。

参考文献

1)国立感染症研究所: 多剤耐性アシネトバクター感染症 Q&A 
2)国立感染症研究所:IASR2010年7月号:2004.
3)横浜衛生研究所:アシネトバクター感染症について