急性出血性結膜炎

山口県感染症情報センター 2011.3作成
2012.6更新

急性出血性結膜炎とは

 主にエンテロウイルス70型(EV70)とコクサッキーウイルスA24亜型(CA24v)による急性結膜炎で、 眼痛、結膜の充血、結膜下出血が多くみられます。
 潜伏期はEV70が1日、CA24vが2〜3日といわれています。

山口県の発生動向について

定点把握疾患報告数グラフ(山口県)の急性出血性結膜炎の項目をご参照下さい。

症状

 突然の強い目の痛み、異物感で始まり、多くの場合結膜の充血、特に結膜下出血を起こすのが特徴です。 約1週間で治癒します。
 病原体がEV70の場合は、罹患後6〜12ヶ月後に四肢の運動麻痺を起こすことがあります。

治療

 有効な治療薬はなく、通常は対症療法を行います。また、細菌の二次感染を防ぐ目的で抗菌剤の点眼が用いられることがあります。

予防

 感染源はヒトの眼分泌物で、 主として接触感染(汚染された手指や物品を介した感染)です。 発症後急性期間の4日間程度感染力があります。 エンテロウイルスの自然宿主はヒトのみですので、手指を清潔にしタオルなどの共用を避け、ヒトからヒトへの感染を防ぎましょう。 また、ウイルス汚染した器具や物品の消毒も大切です。
【獲得免疫】
 再感染する報告もあります。
【ハイリスク患者】
 成人の方が症状が重くなるといわれています。
【消毒】
 エンテロウイルスはエンベロープを有しないウイルスであるため、一般的には強い消毒抵抗性を示します。 塩素系消毒剤の次亜塩素酸ナトリウムは金属腐食性や粘膜刺激性があるため手指や金属製器具の消毒には適していませんが、 タオルなどの非金属製器具や環境には有用です。アルコールでの消毒の場合には長時間を要します。 また、温度に弱く熱水(98℃15〜20分)での消毒が可能です。

参考文献

1)国立感染症研究所: 「急性出血性結膜炎」とは  
2)財団法人 日本公衆衛生協会:感染症予防必携 第2版:2005.
3)国立感染症研究所 学友会:感染症の事典:2004.
4)吉田製薬文献調査チーム:消毒薬テキスト第3版:2008.