メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症

山口県感染症情報センター / 2011.3作成
2012.6更新

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症とは

 メチシリンなどのペニシリン剤をはじめとして、βラクタム剤、アミノ酸配糖体、マクロライド剤など多くの 薬剤に対し耐性を示す黄色ブトウ球菌(MRSA)による感染症です。
 黄色ブドウ球菌は、ヒトや動物の皮膚、消化管内などの体表面に常在し、 ヒトの化膿性疾患に深く関わっています。 また、本菌が産生する毒素は健常者にも食中毒や毒素性ショック症候群の原因となります。 外科手術後の患者や免疫不全者、長期抗菌薬投与患者などに日和見感染(健康人であれば通常感染を起こさないような 平素無害、または弱毒の微生物によって易感染性宿主に感染すること)することも知られています。

山口県の発生動向について

 2001年から2011年の各年における累積報告数と定点当たりの累積報告数です。

症状

 腸炎、肺炎、敗血症などを来し、突然の高熱、血圧低下、腹部膨満、下痢、意識障害、 腎機能障害、肝機能障害などの症状を示します。

治療

 保菌者であっても医療施設外で日常生活が可能な場合は、除菌のための抗生物質投与は基本的に行いません。 易感染性患者においては感受性のある抗生物質の投与が行われますが、 多種の抗生物質に抵抗性を示すため 治療が難しくなり重症化する症例も多くあります。

予防

   健康保菌者や感染患者との接触によって感染しますので、手洗いを励行しましょう。 また、汚染された器具や物品、医療従事者の手を介した感染も多いので、 使い捨て手袋の使用と手洗い、消毒の徹底など施設内感染対策も重要です。
【ハイリスク患者】
 術後や血液疾患やガンなどの基礎疾患を有する場合など免疫機能が低下した患者は注意が必要です。 また、新生児、乳児、高齢者などもハイリスクグループに属します。
【消毒】
 接触感染が多く、施設内での感染を防止するため、消毒は非常に重要な役割を持ちます。 メチシリン感受性黄色ブドウ球菌とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の感受性の差はほとんどありません。 ほぼすべての消毒薬に対して感受性を示します。  

参考文献

1)国立感染症研究所細菌第二部 荒川宜親: 感染症発生動向調査週報 感染症の話「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症」: 2002年第18週号(2002年4月29日〜5月5日).
2)財団法人 日本公衆衛生協会:感染症予防必携 第2版:2005.
3)国立感染症研究所 学友会:感染症の事典:2004.
4)吉田製薬文献調査チーム:消毒薬テキスト第3版:2008.