流行性耳下腺炎

山口県感染症情報センター / 2011.3作成
2012.6更新

流行性耳下腺炎とは

 ムンプスウイルスによる感染症で、 一般的には唾液腺の膨張を特徴とします。
 潜伏期は2〜3週間です。
 特に罹患率が高いのは、3〜6歳です。

山口県の発生動向について

 定点当たりの累積報告数を各年で比較してみると、多い年と少ない年で差がみられます。 山口県では2007年から2009年までの3年間は発生数がかなり少ない年が続きましたが、 2010年は2006年に次いで多い年となりました。

 下のグラフは2009年から2012年(第21週)までの各保健所管内における動向を示したものです。 2009年の終わりから2012年にかけて、流行規模に差はありますが、地域を変えて流行がみられます。 2012年の前半は特に長門での流行が目立ちます。

症状

 一般的には、片側あるいは両側性の唾液腺(耳下腺が最も多い)の膨張、疼痛、発熱を主症状としますが、不顕性感染もみられます。 通常は1〜2週間で軽快する予後良好の疾患ですが、髄膜炎、脳炎、難聴などの合併症を起こすこともあり、 特に難聴は永続的な障害となります。 また、思春期以降では、男性で約20%〜30%に睾丸炎、女性で約7%に卵巣炎を合併症するといわれています。

治療

 有効な抗ウイルス剤はありません。通常、対症療法を行います。

予防

 ムンプスウイルスは潜伏期から唾液に含まれ、飛沫感染(咳、くしゃみなどにより飛び散った唾液や鼻水などを吸い込んで感染)します。 発病数日前から主要症状消退まで感染力があります。 ムンプスウイルスの宿主はヒトのみですので、ヒト−ヒト感染を防ぎます。 濃厚接触を避け、一般的な予防法である手洗いうがいを励行しましょう。

【ワクチン】
 ワクチンがありますが、任意予防接種となります。 自然感染での無菌性髄膜炎の合併が1〜3%近くもあることや難聴のおそれもあること、 罹患すると耳下腺腫脹がある間学校を休ませなければならないことを考慮し判断しましょう。 なお、患者と接触後の緊急接種は症状の軽快は認められても発症を予防することは困難であるといわれています。 罹患しやすいのは3〜6歳といわれているので3歳頃を目安に接種することが勧められています。
【獲得免疫】
 一度感染すると終生免疫を得られます。
【ハイリスク患者】
 年長児や成人が罹患すると臨床症状が著明で、合併症の頻度が高くなります。 特に成人男性が罹患すると20〜30%で睾丸炎を合併し、不妊症の原因となる可能性があります。
【消毒】
 ムンプスウイルスはエンベロープを有するウイルスであるため 消毒薬抵抗性は比較的弱く、アルコール、次亜塩素酸ナトリウムによる不活性化が期待できます。

学校保健安全法での取り扱い

 流行性耳下腺炎は、学校において予防すべき第二種の感染症に指定されており、登校基準としては、 耳下腺、顎下腺又は舌下腺の膨張が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで、出席停止とされています。 (ただし、病状により医師において感染のおそれがないと認めたときを除く。)

参考文献

1)国立感染症研究所感染症情報センター 多屋馨子: 感染症発生動向調査週報 感染症の話「流行性耳下腺炎」: 2003年第35週号(2003年8月25〜31日).
2)財団法人 日本公衆衛生協会:感染症予防必携 第2版:2005.
3)国立感染症研究所 学友会:感染症の事典:2004.
4)財団法人 予防接種リサーチセンター:平成22年度(2010)予防接種必携.
5)吉開泰信編集:ウイルス・細菌と感染症がわかる:2004.
6)吉田製薬文献調査チーム:消毒薬テキスト第3版:2008.