ペニシリン耐性肺炎球菌感染症

山口県感染症情報センター 2011.3作成
2022.9.21更新

ペニシリン耐性肺炎球菌感染症とは

 ペニシリン(肺炎球菌や化膿性連鎖球菌などにも有効な抗生物質)に耐性を獲得した肺炎球菌による感染症です。 肺炎球菌は口腔や鼻腔などに存在する常在細菌で、健常者の口腔などに定着している場合、 通常は無症状です。 ペニシリン耐性肺炎球菌はペニシリンに耐性を獲得してはいるものの病原性はペニシリン感受性の肺炎球菌と同等です。

山口県の発生動向について

 2012年から2021年の各年における累積報告数と定点当たりの累積報告数です。


症状

 化膿性髄膜炎、中耳炎、肺炎などを呈します。

治療

 口腔や鼻腔から分離されても症状のない場合は、 除菌のために抗生物質投与をする必要は基本的にはありません。 易感染性患者においては感受性がある抗生物質の投与が行われます。

予防

 長時間の密接な接触で、鼻咽頭分泌物によりヒトからヒトへ飛沫感染します。
【ワクチン】
 任意接種ではありますが、肺炎球菌多価ワクチンがあります。
【ハイリスク患者】
 術後やガンなどの基礎疾患を有する場合など免疫機能が低下した患者は注意が必要です。 新生児、乳幼児、高齢者などもハイリスクグループに属します。
【消毒】
 ほぼすべての消毒薬に対して感受性を示します。  

参考文献

1)国立感染症研究所 「ペニシリン耐性肺炎球菌感染症」
2)財団法人 日本公衆衛生協会:感染症予防必携 第2版:2005.
3)国立感染症研究所 学友会:感染症の事典:2004.
4)吉田製薬文献調査チーム:消毒薬テキスト第3版:2008.
5)薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2017:薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会
6)薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2021:薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会