性器クラミジア感染症

山口県感染症情報センター 2011.3作成
2022.9.21更新

性器クラミジア感染症とは

 クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis) によるわが国で最も多い性感染症です。 男性では尿道炎、女性では子宮頚管炎などを起こします。 妊婦の場合には新生児に産道感染させてしまうこともあります。 また、子宮外妊娠、不妊、流早産の誘因にもなります。
 潜伏期は淋菌感染症よりも長く、2〜3週間といわれています。

山口県の発生動向について

10年間の発生数の推移は次のとおりです。

性器クラミジア感染症2012201320142015201620172018201920202021
全国(定点当たり報告数)25.1626.2925.624.9524.7725.1325.8827.6928.9330.52
山口県(定点あたり報告数)21.0823.6725.6724.2417.518.525.8327.0829.8332.58
山口県(報告数)253284308291210222310325358391
山口県(男性)931081041139496165170188238
山口県(女性)160176204178116126145155170153
山口県(0歳)0000000000
山口県(1〜4歳)0000000000
山口県(5〜9歳)0000000000
山口県(10〜14歳)3051000200
山口県(15〜19歳)66626562333927333749
山口県(20〜24歳)7192113776868110133134134
山口県(25〜29歳)39464464304171549680
山口県(30〜34歳)34303027262441434251
山口県(35〜39歳)14202023201825181429
山口県(40〜44歳)12141620161522161818
山口県(45〜49歳)71263899151013
山口県(50〜54歳)2364613538
山口県(55〜59歳)3413152326
山口県(60〜64歳)2116200113
山口県(65〜69歳)0011000010
山口県(70歳以上)0000020200

症状

男性は急性尿道炎が最も多く、さらに前立腺炎や精巣上体炎を起こすこともあります。 女性はまず子宮頚管炎を起こします。男性より症状が軽く自覚されないまま経過することが多く、 その後、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤内炎症性疾患、肝周囲炎等、上部に波及する場合もあります。

治療

抗生物質を使用しますが、β-ラクタム剤やアミノ配糖体は無効です。新生児、小児、授乳中の母親にはマクロライド系を使用し、 成人ではテトラサイクリン系やニューキノロン系も使用します。 男女間でお互いに感染させてしまいますので、両者の治療を同時に行う必要があります。

予防

性的接触によって伝播します。また、特に女性の場合は感染を受けても自覚症状が乏しいため、無自覚のうちに パートナーや出産児へ感染させることもあるので注意が必要です。 男女間での感染を予防するためにコンドームを使用したり、感染が疑われる相手との性交渉を避けましょう。

参考文献

1)国立感染症研究所 「性器クラミジア感染症」とは
2)財団法人 日本公衆衛生協会:感染症予防必携 第2版:2005.
3)国立感染症研究所 学友会:感染症の事典:2004.
4)吉開泰信編集:ウイルス・細菌と感染症がわかる:2004.