腸管出血性大腸菌は大腸菌の仲間です。大腸菌は、家畜や人の腸内にも存在し、そのほとんどは害はありません。
しかし、大腸菌のうちのいくつかの種類が、人に下痢などの消化器症状を起こすことがあり、それを病原大腸菌と呼んでいます。なお、病原大腸菌の中には、毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こす腸管出血性大腸菌と呼ばれるものがあります。
病気を起こすといわれている大腸菌は、約170種類ありますが、腸管出血性大腸菌感染症を起こすのは、O157、O26、O111などの種類です。重症化するものの多くは、O157です。
菌に汚染された食品や、患者の便で汚染されたものに触れた手を介して起こる経口感染です。
(話をしたり、くしゃみ、汗などでは感染しません)
感染後3〜8日の潜伏期間の後、腹痛や水様性の下痢を起こします。後に出血性の下痢となることもあります。
まれに下痢などの初発症状の数日から2週間以内に、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの重症合併症を発症することがあります。
HUSを発症し、急性腎不全などを生じた場合、死に至ることもあります。
一年を通してみられますが、5月〜10月の夏から秋に多く発生します。
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腸管出血性大腸菌感染症は、学校における予防すべき第三種の感染症に指定されており、 有症状者の場合には、医師によって感染のおそれがないと認められるまで出席停止となっています。無症状病原体保有者の場合には出席停止の必要はなく、手洗いの励行等の一般的な予防方法の励行で二次感染は防止できるとされています。