SARSは“Severe Acute Respiratory Syndrome”の略で、日本語では『重症急性呼吸器症候群』と訳されます。
SARSは、新型のコロナウイルスである『SARSウイルス』が原因である新しい感染症です。
主な症状としては、発病時、38℃以上の発熱、悪寒、筋肉痛、乾燥咳、頭痛などきわめてインフルエンザに類似している特徴があります。また、喀痰、下痢といった症状も比較的多くの人にあらわれます。発病して1週間程度すると、肺炎の症状が現れ始め、胸部レントゲン写真では、肺炎または呼吸窮迫症候群(ARDS)の所見が見らます。 2週間目に入ると、ステロイドや抗菌薬の投与によって一旦解熱したように見えた症状も、再び発熱することもあります。またこの時期、水様性の下痢症状を呈す場合もあります(約50%)。多くの場合、この後症状が改善し回復に向かいますが、10〜20%の方が呼吸不全など重症化すると言われています。
濃厚な接触、あるいは、飛沫感染(患者が咳やくしゃみなどをした際に飛び散るウイルスを吸い込むことによる感染)が主な感染経路だと考えられています。ウイルスやそれを含んだものに触れた手指や物を介した感染(接触感染)、排泄物に触れた手を介した感染(経口感染)、特別な条件下での空気感染なども完全に否定することはできませんが、可能性はかなり低いと考えられています。
感染性については、症状が無い時期には、他の人への感染力は無いか、またはきわめて低いと考えられています。また現在までのところ、解熱してから10日以上経過した人から、他の人に感染したという報告はありません。
ワクチンの研究・開発は行われていますが、実用化されたワクチンはまだありません。
基本的に、手洗い、咳・くしゃみなどの症状のある人が、マスクを使用することが最も重要です。一般的には、手洗いの励行など個人衛生に気をつけること、体力や免疫力の強化、十分に睡眠をとり過労をさけることなどがあげられます。
消毒法は、SARSコロナウイルスの消毒はそれ程困難ではありません。熱に極めて弱く、 80℃10分で失活(活性が失われること)してしまいます。アイロンがけも有効です。また、紫外線に弱いので日光に干すあるいは、紫外線照射をすることも有効です。また、70〜80%の消毒用アルコール、グルタールアルデヒド、界面活性剤なども有効です。これらを使用するときには、消毒するものや、場所、場面などで使い分けることが必要です。
SARS患者を受け入れるための病床の整備や、患者を運ぶための搬送車(アイソレーター)の配備、最新の知識を得るためのセミナーや講習会、模擬演習が実施されています。
また、SARS発生時に迅速に対応できるように、具体的な事例を想定し、患者移送方法や有症状者に対する医療提供体制、健康福祉センターが行う初期対応、消毒、接触者管理等についての行動計画が策定されています。
初期の診療を担当する医療機関(病院、診療所)を下記のとおり選定しました。
*診察を受ける前には、必ず近くの健康福祉センター(保健所)に電話などでご連絡・ご相談下さい。
外来協力医療機関名 | 所在地 | 電話番号 |
---|---|---|
岩国医療センター | 岩国市黒磯町2丁目5-1 | (0827)31-7121 |
国立療養所柳井病院 | 柳井市伊保庄95 | (0820)27-0211 |
社会保険徳山中央病院 | 周南市孝田町1-1 | (0834)28-4411 |
県立総合医療センター | 防府市大崎77 | (0835)22-4411 |
済生会山口総合病院 | 山口市緑町2-11 | (083)922-2430 |
国立療養所山陽病院 | 宇部市東岐波区685 | (0836)58-2300 |
関門医療センター | 下関後田町1丁目1-1 | (0832)22-6216 |
下関市立中央病院 | 下関市向洋町1丁目13-1 | (0832)31-4111 |
厚生連長門総合病院 | 長門市東深川85 | (0837)22-2220 |
*SARSに関する相談は、最寄りの保健所又は、県健康増進課へお問い合わせください。