性器ヘルペスウイルス感染症

山口県感染症情報センター 2011.3作成
2022.9.21更新

性器ヘルペスウイルス感染症とは

 単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus;HSV) の感染によって、性器やその付近に水疱や潰瘍などの病変が形成される疾患です。
 初感染で発症する場合の潜伏期は、2〜21日といわれます。

山口県の発生動向について

10年間の発生数の推移は次のとおりです。

性器ヘルペスウイルス感染症2012201320142015201620172018201920202021
全国(定点当たり報告数)8.899.018.879.169.319.429.289.589.179.14
山口県(定点あたり報告数)9.8313.2511.7510.9212.7513.2512.7513.589.759.83
山口県(報告数)118159141131153159153163117118
山口県(男性)27202730475341362236
山口県(女性)911391141011061061121279582
山口県(0歳)0000000000
山口県(0〜4歳)0000000000
山口県(5〜9歳)0100000000
山口県(10〜14歳)0000100110
山口県(15〜19歳)9646746625
山口県(20〜24歳)15272014171717131415
山口県(25〜29歳)18312024252125232419
山口県(30〜34歳)13212729201721201310
山口県(35〜39歳)1491910152017231914
山口県(40〜44歳)917116181412131212
山口県(45〜49歳)11108107171119811
山口県(50〜54歳)38991481216415
山口県(55〜59歳)97337136722
山口県(60〜64歳)69897113922
山口県(65〜69歳)4464598430
山口県(70歳以上)79671081591313

症状

 主に3つのタイプ(1)初感染で発症する場合(2)再発する場合(3)過去に感染していたが無症状で、 免疫低下などをきっかけに初めて発症する場合に分けられます。 この中で(1)の初感染で発症した場合が最も症状が重く、 外陰部の不快感、掻痒等の前駆症状の後、 全身倦怠感、発熱、疼痛を伴って性器や殿部に多発性の小さい水疱や潰瘍などの病変を形成します。
 妊婦の場合には新生児に産道感染させてしまうこともあります。

治療

 抗ヘルペスウイルス剤を使用します。本剤によって病変はいったん治癒しますが、 一度感染するとHSVが神経節に潜伏するため再発を繰り返します。

予防

 性行為で伝播するウイルスの多くは、血液や分泌液の濃厚な接触なしには感染しないため、 衛生教育の徹底により感染予防は可能です。 一方で、感染しても発症せずに無症状でウイルスを排出している場合が多く、 知らぬ間に感染拡大をしてしまいます。
 男女間での感染を予防するために、コンドームを使用したり、 感染が疑われる相手との性交渉を避けましょう。

参考文献

1)国立感染症研究所 「性器ヘルペスウイルス感染症」とは
2)財団法人 日本公衆衛生協会:感染症予防必携 第2版:2005.
3)国立感染症研究所 学友会:感染症の事典:2004.
4)吉開泰信編集:ウイルス・細菌と感染症がわかる:2004.