五類感染症定点把握疾患のウイルスについて

山口県感染症情報センター 2011.3

ウイルスの分類とは


ウイルス目、科名 ゲノム核酸の性状 エンベロープの有無 亜科 属名 種名 主な疾患名
ヘルペスウイルス科 二本鎖DNA アルファヘルペスウイルス亜科 バリセロウイルス属 水痘帯状疱疹ウイルス 水痘(みずぼうそう)
シンプレックスウイルス属 単純ヘルペスウイルス2型 性器ヘルペスウイルス感染症
ベータヘルペスウイルス亜科 ロゼオロウイルス属 ヒトヘルペスウイルス6,7型 突発性発疹
アデノウイルス科 二本鎖DNA ヒトアデノウイルス(多くの血清型) 咽頭結膜炎
流行性角結膜炎
パピローマウイルス科 二本鎖DNA ヒトパピローマウイルス(多くの遺伝子型) 尖形コンジローマ
パルボウイルス科 一本鎖DNA パルボウイルス亜科 エリスロウイルス属 エリスロウイルスB19,ヒトパルボウイルスB19 伝染性紅斑
モノネガウイルス目パラミクソウイルス科 一本鎖RNA パラミクソウイルス亜科 ルブラウイルス属 ムンプスウイルス 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
無菌性髄膜炎
ニューモウイルス亜科 RSウイルス RSウイルス感染症
オルトミクソウイルス科 一本鎖RNA インフルエンザAウイルス A型インフルエンザ
インフルエンザBウイルス B型インフルエンザ
インフルエンザCウイルス C型インフルエンザ
ピコルナウイルス科 一本鎖RNA エンテロウイルス属 コクサッキーA群ウイルス ヘルバンギ−ナ
手足口病
急性出血性結膜炎
無菌性髄膜炎
コクサッキーB群ウイルス 無菌性髄膜炎
エコーウイルス 無菌性髄膜炎
エンテロウイルス71型 手足口病
無菌性髄膜炎
エンテロウイルス70型 急性出血性結膜炎

ウイルスの基本構造

 ウイルスは核酸としてDNA又はRNAのいずれか一方しかもたず、 増殖のためには生きた細胞が必要です。  最も単純な構造のウイルス粒子は、ゲノム核酸(DNA又はRNA)とカプシドタンパク質のみから構成されています。 ゲノム核酸(DNAかRNAのいずれか)はカプシドタンパク質に包まれています。 さらに、ゲノム核酸(DNA又はRNA)とカプシドタンパク質の外側に これらを包み込む脂質二重膜(エンベロープ)を多くのウイルスがもっています。
 エンベロープの有無は消毒薬抵抗性に大きく関与します。 エンベロープは脂質成分を含むため一般的にはエンベロープを有しないウイルスに比べて消毒抵抗性は弱く(消毒されやすく)、 アルコールなどの脂溶性消毒剤で失活します。

参考文献

1)吉開 泰信編集:ウイルス・細菌と感染症がわかる:2004年.
2)古泉 快夫、芝田 充男、林 桂堂:ウイルス学サマリー:2003年.