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単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus;HSV)の感染によって、性器やその付近に水疱や潰瘍などの病変が形成される疾患です。
初感染で発症する場合の潜伏期は、2〜21日といわれます。
2001年から2011年の各年における累積報告数と定点当たりの累積報告数です。
各年における男女比についてです。
2001年から2011年の平均では男性が24%、女性が76%を占めています。
すべての年において女性からの報告が圧倒的に多い状況です。
各年齢層における報告数の割合です。
年によって分布に変動があり、
平均では20〜39歳で報告が多く、
40歳以上の幅広い年齢層でも報告がみられます。
さらに、70歳以上においても報告数が比較的多くなっています。
主に3つのタイプ@初感染で発症する場合A再発する場合B過去に感染していたが無症状で、免疫低下などをきっかけに初めて発症する場合に分けられます。
この中で@の初感染で発症した場合が最も症状が重く、
外陰部の不快感、掻痒等の前駆症状の後、
全身倦怠感、発熱、疼痛を伴って性器や殿部に多発性の小さい水疱や潰瘍などの病変を形成します。
妊婦の場合には新生児に産道感染させてしまうこともあります。
抗ヘルペスウイルス剤を使用します。本剤によって病変はいったん治癒しますが、 一度感染するとHSVが神経節に潜伏するため再発を繰り返します。
性行為で伝播するウイルスの多くは、血液や分泌液の濃厚な接触なしには感染しないため、
衛生教育の徹底により感染予防は可能です。
一方で、感染しても発症せずに無症状でウイルスを排出している場合が多く、知らぬ間に感染拡大をしてしまいます。
男女間での感染を予防するために、コンドームを使用したり、感染が疑われる相手との性交渉を避けましょう。
1)国立感染症研究所感染症情報センター 橋戸 円:
感染症発生動向調査週報 感染症の話「性器ヘルペスウイルス感染症」:
2002年第51週号(2002年12月16日〜12月22日).
2)財団法人 日本公衆衛生協会:感染症予防必携 第2版:2005.
3)国立感染症研究所 学友会:感染症の事典:2004.
4)吉開泰信編集:ウイルス・細菌と感染症がわかる:2004.