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クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)によるわが国で最も多い性感染症です。
男性では尿道炎、女性では子宮頚管炎などを起こします。
妊婦の場合には新生児に産道感染させてしまうこともあります。また、子宮外妊娠、不妊、流早産の誘因にもなります。
潜伏期は淋菌感染症よりも長く、2〜3週間といわれています。
2001年から2011年の各年における累積報告数と定点当たりの累積報告数です。
各年における男女比についてです。
2001年から2011年の平均では男性が36%、女性が64%を占めています。
すべての年において女性からの報告が多い状況です。
各年齢層における報告数の割合です。
いずれの年も最も報告が多い年齢層は20〜24歳です。
つづいて、25〜29歳又は15〜19歳が多く、15〜29歳で全体のおよそ70%を占めています。
男性は急性尿道炎が最も多く、さらに前立腺炎や精巣上体炎を起こすこともあります。 女性はまず子宮頚管炎を起こします。男性より症状が軽く自覚されないまま経過することが多く、 その後、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤内炎症性疾患、肝周囲炎等、上部に波及する場合もあります。
抗生物質を使用しますが、β-ラクタム剤やアミノ配糖体は無効です。新生児、小児、授乳中の母親にはマクロライド系を使用し、 成人ではテトラサイクリン系やニューキノロン系も使用します。 男女間でお互いに感染させてしまいますので、両者の治療を同時に行う必要があります。
性的接触によって伝播します。また、特に女性の場合は感染を受けても自覚症状が乏しいため、無自覚のうちに
パートナーや出産児へ感染させることもあるので注意が必要です。
男女間での感染を予防するためにコンドームを使用したり、感染が疑われる相手との性交渉を避けましょう。
1)タイ国立衛生研究所機能向上プロジェクト 萩原敏且、
国立感染症研究所感染症情報センター 木村幹男:
感染症発生動向調査週報 感染症の話「性器クラミジア感染症」:
2002年第51週号(2002年12月16日〜12月22日).
2)財団法人 日本公衆衛生協会:感染症予防必携 第2版:2005.
3)国立感染症研究所 学友会:感染症の事典:2004.
4)吉開泰信編集:ウイルス・細菌と感染症がわかる:2004.