山口県環境保健センター
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■  平成21年度外部評価結果

1 実施状況
 外部評価実施年月日  平成22年2月22日(月)13:30〜17:15
 外部評価実施場所  山口県環境保健センター大歳庁舎第1会議室 (1F)
 外部評価実施委員  浮田正夫委員(座長)、藤島政博委員、島添美葉子委員、田原正美委員、溝手朝子委員
 外部評価の対象及び
 評価方法
 調査研究課題及び主要な事業ごとに「環境保健センター外部評価要綱」に基づき、各評価時期(事前評価・中間評価・事後評価)について、各評価項目ごとに5段階評価を実施する。
 外部評価結果(総合)  平均 4.0(3.0〜4.6)

2 評価及び評価項目
    事前評価  中間評価  事後評価
評価項目  ①必要性
 ②目的の適合性
 ③計画内容等の妥当性
 ④経済性
 ⑤目標の達成及び活用可能性
 ⑥総合評価
 ①必要性
 ②進捗状況
 ③計画内容等の妥当性
 ④経済性
 ⑤目標の達成及び利活用の可能性
 ⑥総合評価
 ①調査研究の妥当性
 ②目標の達成度
 ③成果の意義、活用性
 ④総合評価

3 評価基準
 評点  評価基準
 良好
 やや良好
 普通
 やや不良
 不良

4 評価結果
調査研究担当部    保健科学部
課題(番号)  1−(1)
 食品中(えび・かに)のアレルギー関連物質の検査方法に関する調査研究
調査研究等の目的  えび・かにの検査法は通知法が確定したばかりで、擬陽性・擬陰性情報等が確定していなかったり、DNAを用いたえび・かにの違いを明確にする手法も複雑である。
 特にえび・かにを定量するトロポミオシンについては、甲殻類以外にも存在が確認されているため早急な偽陽性情報の整備は必須である。
 このため調査の円滑な実施に資するため検査手法の評価、検査実施標準作業書(案)の作成、検査判断マニュアル案の作成等により、本県の検査及び監視・指導が迅速かつ的確に実施できる体制整備の確立を図り、ひいては食の安心・安全確保の推進を目的とする。
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.2
 5評価1名 4評価4名
外部評価委員のコメント  ・まず全般に、保健科学部、環境科学部とも、日常検査業務が大変込んでいる中、調査研究をやられることに敬意を表する。
 ・アレルギー体質の患者には深刻な問題であり、この研究成果の活用の緊急度は極めて高いと思います。
 ・アレルギー対応も、食の安全を考える上で今や欠くことのできないテーマである。
 ・アレルギー反応はともすると重大な事態を招くことから、標準作業書が必要であることは十分理解できる。
 ・調査研究期間が長すぎる。
 ・えび・かにの副題がつけられているが、期間を3年程度以内に区切った方がいいのではないか。この課題に限らず、少なくとも3年くらいで簡単でもノートか論文にするようにしてはどうか。
 ・多くの業務を抱えてのこととは思うが、8年間かかるという体制に課題があるように思える。
 ・申請予算額が少なすぎるのではないかと思います。
 ・これだけの研究がこの費用で実施可能とは信じがたい。苦労が伝わってくる。
 ・食品の流通は広域になっており、地方と国の役割分担を明確にした調査研究のシステム化が必要ではないか。
 ・混入が非意図的であるとはいえ、アレルギーフリーの表示のある食品から検出されたというのは由々しき事態。適切な情報公開を通した注意喚起を促されたい。
 ・通知法測定キットが販売されているようであるが、これについても製造会社によって違う値を示すことから、より正確かつ簡便な手法の確立が望まれる。
 ・これらの研究課題はアレルギー物質フリー加工食品あるいはその製造工場の認証などに生かされることになるのかと考えられるが、もしそうであれば、前項の意見について、学会や連絡会を通して国へ働きかけが必要ではないか。
 ・検査と製造現場への立ち入り調査は車の両輪のようなもの。担当部署との一層の連携強化を。
 ・山口県だけで対応するのではなく、全国的な取り組みが必要ではないか。国を中心として府県調整すべきものと考える。
 ・アレルギー反応の重症化には個人差があるが、検出精度の向上に伴い、リスクマネジメント的視点も必要になってくるのではないだろうか。加えて、アレルギー物質混入の可能性の高い事例を集め、関係業者に注意喚起を指示することも未然に防ぐ手立てと思える。
調査研究担当部    保健科学部
課題(番号)  1−(2)
 食品中の残留農薬、動物用医薬品等の迅速・一斉分析に関する調査研究
調査研究等の目的  残留農薬、動物用医薬品、医薬品、自然毒等食品由来健康被害原因化学物質の、LC/MS/MS(高速液体クロマトグラフ・質量分析計)、GC/MS(ガスクロマトグラフ・質量分析計)等による分析手法を検討するとともに、LC/MS/MSのマススペクトルデータベースを構築し、これを活用した化学物質検索手法を確立することにより、迅速かつ的確な危機管理体制の確立を図る。
 また、食品由来健康被害原因化学物質検査マニュアルを作成することにより、的確な事案への対応体制の確立を図るとともに、技術継承を図る。  
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.4
 5評価2名 4評価3名
外部評価委員のコメント  ・大変重要な分野の調査研究である。
 ・必要性は健康維持のため、極めて高いと思います。
 ・消費者の安心とともに、生産者の適正な農薬使用意識の向上にも寄与している。
 ・健康被害を及ぼす原因物質の迅速な検出は重要な調査研究といえる。
 ・他県と連携した共同研究を実施しており、成果の実用化が期待できます。
 ・他県とも共同実施しているということで、効率化が図れている。
 ・研究の終期まで細目にわたる計画をもつべきである。
 ・安全安心確保のため、早期に確立をお願いしたい。
 ・標準品確保に予算増の要求が記されていますので検討していただきたいと思います。
 ・4県との共同研究の意義は大きい。早い時期の島根県の参加が望まれる。
 ・効率化や実績をアピールし、山口県が担うべき部分について十分な予算確保に向けた努力をお願いしたい。
 ・分析法の確立のみではなく、県民の理解と安心のため、検査結果のわかりやすい広報をお願いする。
 ・消費者には関心の深いテーマであり、中国5県共同での一般向けシンポジウム等の開催も望まれる。島根県を巻き込むという意味でも、島根県中山間地域研究センター等へ開催を持ちかけてみるのも一考。
 ・有効活用が期待されるが、実施体制を充実する方向で検討されてはいかがだろうか?
 ・業務多端のことと思われるが、上記に関連した総説的なものや、段階的にでも得られた成果を論文等にまとめられることを期待します。
 ・検査技術の継承意義は大きいと考える。
 ・毎年1〜2件の身体に危険が及ぶと思われる濃度の農薬が検出されているとのこと。作物の成長速度と出荷規格の兼ね合いで農薬が高値に残留する可能性があるので、気象状況も視野に入れて検査を行うと危険回避に効果的かもしれない。
調査研究担当部    保健科学部
課題(番号)  1−(3)
 食中毒関連病因物質・原因食品検索方法に関する調査研究
調査研究等の目的  食中毒発生時の正確、迅速な病因物質・原因食品の確定は、その拡大・再発防止対策に重要である。
 そこで、リアルタイムPCR、LC/MS/MS等を使用した、より正確、迅速な病因物質・原因食品追求手法を調査研究するとともに、食中毒発生時の初動調査、疫学調査手法について調査研究することにより食中毒事件発生時の対応に寄与することを目的とする。
外部評価
結果
 総合評価 平均 3.6
 4評価3名 3評価2名
外部評価委員のコメント  ・大変重要な分野の調査研究である。
 ・食中毒の原因解明は、その後の治療はもとより、改善予防に重要な役割を果たす。
 ・スライドの資料の内容からは特に進展を示す大きな成果はないように思われました。
 ・食中毒調査マニュアルの作成は、行政の現場部門とのすり合わせが必要ではないか。
 ・業務を総合的に見て研究関係者の負担が大きいのでは?
 ・具体的工程を示して早急に実現するように体制を整えていただきたい。
 ・周辺県と共通する事案も多いと思われる。効率を上げるためにも共同研究の推進を。
 ・突発的事態への対応に追われて、基礎研究がやりにくいものと推察するが、疫学調査適用の部分の進捗状況が掴めない。
 ・患者の治療とういう点からも初動調査の重要性は高い。研究成果を現場で十分に活かせるよう関係部署との連携の中でマニュアル作成等に臨まれたい。
 ・これまで、ノロウイルスに関する論文などは数多くまとめられているようであるが、最近の状況は実績書だけからは判断できない。先で、成果のわかりやすい提示を期待する。
 ・判定に必要な研究と思います。
 ・最終年度までに計画どおりの成果が得られるのか疑問である。
 ・迅速な原因の解明は重要であるため、具体的手法の確立を早急に実現していただきたい。
調査研究担当部    保健科学部
課題(番号)  1−(4)
 生活習慣病関連遺伝子多型情報に基づく児童のヘルスプロモーション
調査研究等の目的  近年、日本人の生活習慣は急激な変化を遂げ、過剰なエネルギー摂取を習慣としつつあり、これが生活習慣病増加の大きな原因であると考えられる。これに伴い、生活習慣が形成される学童期におけるヘルスプロモーションが重要課題となってきた。一方2型糖尿病、肥満は多因子遺伝子病といわれていたにもかかわらず、その原因遺伝子は同定されていなかったが、最近の研究により発症リスクを高める遺伝子が相次いで報告された。
 本研究では、現在周南市がモデル事業として行っている「小児生活習慣病予防調査事業」において、2型糖尿病ハイリスク遺伝子、肥満ハイリスク遺伝子について遺伝子検査を行い、発症リスク群に対する生活習慣介入の効果を検討するとともに、健診事業の全県実施の可能性について検討する事を目的とする。  
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.4
 5評価2名 4評価3名
外部評価委員のコメント  ・将来を見越した研究として重要である。
 ・スライドの資料では、H21年度予定の遺伝子検査の作業が遅れていると思います。
 ・全体として費用はそれなりに必要と思われるが、資料からは不明で判断できない。共同研究チームとして外部資金が得られているのか。
 ・大学や教育委員会等との連携がうまくいかなければ進まない研究であり、折角の連携関係を大事にして長期的な視点で進められることを期待する。
 ・発想は良く、成果が期待できると思います。
 ・成果活用のためには偏見等に対抗しうる健康(倫理)教育が不可欠。その点においても教育委員会及び教育現場教員との一層の連携が重要である。
 ・成果の有効活用には、運動・栄養等他領域の支援体制が必要なのではないか。
 ・遺伝子と病気の関係は、重点的ケアがはかれる面と、差別感をもたせる面の両面があると思う。研究目標の前半にある食育、科学的健康教育に力を入れて欲しい。
 ・遺伝子診断から発症を予防する策として重要です。
 ・まず、教員や保護者の正しい理解を促進するような啓発活動が抵抗感の軽減につながると思われる。
 ・将来的には生活習慣病予防に繋がるものとして研究成果の還元ができれば、その効果は大きいので、指導体制を含めた研究として実施していただきたい。  
調査研究担当部    環境科学部
課題(番号)  2−(1)
 緊急時における環境汚染物質のナノレベル多成分同時分析の検討
調査研究等の目的  事故等により大気中に放出された環境汚染物質は、その種類や排出量が不明なものが多く、人の健康や生活環境への影響を予測することが困難である。
 したがって、このような緊急時には、どのような化学物質が大気中に存在しているかを、いち早く分析することが求められる。
   そこで、大量濃縮による高感度分析が可能な加熱脱着導入装置付きGC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)を用いて、種々の化学物質を高感度かつ高精度に多成分同時分析する手法を検討した。
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.4
 5評価2名 4評価3名
外部評価委員のコメント  ・重要な調査研究である。
 ・VOC等、大気微量化学成分の同時分析法が確立されている。
 ・早期に原因物質を分析できる方法が確立できたことは高く評価できると思います。
 ・緊急時にかぎらず、悪臭苦情の多い地域について、本調査研究の成果を生かし、データを蓄積し、地域に還元していただきたい。
 ・初動時の的確な試料採取の体制整備のためにも、消防や警察等との日ごろからの情報提供や連携が必要。
 ・成果活用に必要な機器整備体制に不安が見られる。
 ・上記と関連して、複合的な悪臭の原因解明に役立つように研究が発展することを期待します。また、緊急時に迅速な試料採取が行える体制の整備も重要である。
 ・東アジアから風で運ばれてくる可能性のある多様な物質の分析も可能にし、平常時の数値の把握も同時に行っていただきたいと思います。
 ・事故概要及びその対応の適切な情報公開は、市民の安心感や他の事業所等へ注意喚起にもつながる。今後、情報公開のあり方等の検討も重ねられたい。
 ・緊急時に活用できるよう今後もデータ集積に努めて下さい。
 ・期限内に相応の成果を出しているため、この成果を活用し悪臭苦情等への活用を実現していただきたい。
調査研究担当部    環境科学部
課題(番号)  2−(2)
 黄砂現象時の大気汚染物質特性及び分布に関する研究
調査研究等の目的  黄砂現象はアジア大陸の砂漠や乾燥地帯の細かい鉱物粒子が、低気圧によって舞い上げられ西風に乗って遠くまで輸送され、落下したり大気を混濁させたりする現象である。近年中国や韓国では黄砂による被害が増加しており、日本でも西日本を中心に増加傾向が見られ、その社会的影響や健康被害の可能性が問題となっている。
 このような広域的な問題は多国間の共同調査が重要であり、平成19年6月に韓国で開催された日韓環境技術交流実務者会議において、次期交流事業の共同調査事業として本課題が選ばれた。
 具体的には、黄砂の共同採取とデータの共同解析を行い、重金属やイオンの分析を行うことによって、日本と韓国での黄砂の相違を比較検討する。これらの結果から広域的な分布特性が判明し、より詳しい黄砂の分布、拡散、移動等が判明する。また、韓国と共同歩調を取ることで、黄砂の飛来過程について精度良く検討することができる。
外部評価
結果
 総合評価 平均 3.8
 5評価1名 4評価3名 2評価1名
外部評価委員のコメント  ・大気環境の基礎研究として、国際的にも国内的にも重要な課題である。
 ・西日本だけでなく、東北にも大昔から黄砂が飛来していることが地質調査でわかってきています。
  生態系への金属イオンの供給というメリットもあり、多様な研究が必要です。
 ・PM2.5等とも関連することから、国境を越えて移流する粒子状物質の挙動を解明する必要性は高い。
 ・平成17年所報に掲載されている黄砂飛来時の大気中ベリリウムの測定に関する報告のように、短編でも公表できるような成果をお願いしたい。
 ・県境、国境を超えた共同研究の意義は大きい。
 ・研究成果を住民にどのように還元するのか。
 ・今後PM2.5に占める黄砂の割合についても推定できるような方法を考案されることを期待する。
 ・微生物の飛来を含めた国家プロジェクトにして継続すべきと思います。
 飛来する金属イオン組成に変化が生じると日本の生態系への影響は大きいと思います。
 ・来年度の長崎県でのシンポジウムに期待している。
 ・黄砂の飛来する地域や量が気象条件でどのように変化し、人の健康に及ぼす影響はどうかといった調査の広がりが欲しい。
 ・大規模黄砂飛来予測時に柔軟に対応できる体制の整備をしておく必要があるのではないか。健康被害との関連性から、調査結果の有効活用をお願いしたい。
調査研究担当部    環境科学部
課題(番号)  2−(3)
 アオコ回収方法の開発
調査研究等の目的  県内の多くの湖沼等で、夏季から秋季にかけてアオコの発生がみられる。アオコが大量に発生すると、湖沼の水を水道水源に利用する際にカビ臭の原因になる。そのため、緊急時の対策として、湖沼からアオコを回収することが必要である。しかしながら、現在、開発されているアオコの回収方法等は、設備費が高く、操作が煩雑で、ランニングコストも掛かる。そのため、操作が簡単で、経費もあまり要しないアオコ回収方法を開発することを目的とする。 
外部評価
結果
 総合評価 平均 3.6
 4評価1名 3評価3名 2評価1名
外部評価委員のコメント  ・今回の試料には費用の記載がないので、判断できない。完了報告について期間内の総予算などの情報が必要と思う。この課題に限ることではないが、成果についてもまとまったものがあれば、記載するなど、実績書の書式を工夫すべきではないか。
 ・一応特許申請までできており、関連会社への成果の情報提供も行われている。
 ・平成20年度のマイクロバブル併用の効果がどうであったのか、宇部高専の研究などとの協議が行われたのかなど、不明である。
 ・研究成果が実験室段階にどどまっている。大規模化が難しければ実用性は低いと思われる。
 ・企業や高専などとの連携がより積極的にとられればよかったのではないか。
 ・資料からは、実用化にはまだ遠いと思われますが、必要な研究ですので継続すべきと思います。
 ・アオコの発生はある程度予想される。緊急対策より発生の低減化をめざすことが先決ではないか。
 ・実験室レベルでの回収方法に終わっているため、実用化にはさらに多くの課題が残されていることから、基礎資料的意義はあると思われる。  
調査研究担当部    環境科学部
課題(番号)  2−(4)
 PM2.5と光化学オキシダントの実体解明と発生源寄与評価に関する研究
調査研究等の目的  PM2.5による健康影響が世界的に懸念され、日本でも環境基本法に基づく環境基準が設定されたばかりである。
 しかし、多くの地域でこの基準を超過することが予想され、各地域の汚染実態や発生機構を早急に明らかにする必要がある。また、汚染低減対策を進めるためには、発生源寄与率について評価する必要がある。
 一方、光化学オキシダント(Ox)濃度は全国的に増加傾向にあり、山口県でもOx注意報等の発令数は年々増加している。近年では越境汚染が示唆される高濃度汚染も発生しており、早急に濃度増加原因を解明し、有効な対策を講じる必要がある。
 このように、PM2.5とOxは関連性があり共に高い地域依存性を持つと同時に、広域的汚染も考えられるため、全国と地域の両方の視点から研究を進める必要がある。また、これらの発生機構は極めて複雑であるため、複数の研究機関が共同で研究を進めることが有効である。      
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.6
 5評価3名 4評価2名 
外部評価委員のコメント  ・今日的な課題であり、行政的にも重要である。
 ・発生源対策のためにも実態の解明が急がれる。
 ・本県は、大陸に近い、化学工業が多いなど地理的条件から、全国的にも特徴ある重要な地域である。
 ・全国規模の共同研究組織でなければできないプロジェクトであり、当センターの役割は重要と思います。
 ・全国規模の共同研究の意義が大きいテーマである。
 ・国立環境研究所主導の全国的共同研究であり、山口県としても寄与するところは大きい。
 ・測定法が確立しないうちに発生機構や発生源寄与の評価ができるのか疑問に思う。
 ・国の方針が未定の部分であり詳細検討不可能。
 ・発生源は極めて多様であると想像されるが、県内の特徴ある地域ごとにデータを蓄積して、とくにガス状物質以外の発生源寄与率を明らかにされることを期待する。
 ・黄砂研究等の経験を活かして、いずれは国境を越えた連携も視野に入れられたい。
 ・石炭燃料由来のばいじん、黄砂微粒子、自動車排ガス中の微粒子、セメント微粒子などの寄与が明らかに成ることを期待する。
 ・成果を期待いたします。
 ・今までの研究成果にも示されている通り、光化学オキシダント等の大陸からの移流の可能性が強く疑われるため、山陽側のみならず山陰側にも常時測定局を設置すべきである。
 ・時代の要請する研究であると考えます。
 ・十分に意義が認められる研究である。近未来的には大陸諸国との共同研究も必要になるのではないか。
調査研究担当部    環境科学部
課題(番号)  2−(5)
 揮発性有機化合物(VOC)による大気汚染状況に関する地域特性の把握
調査研究等の目的  大気汚染防止法の規定に基づき、県内3地点において有害大気汚染物質のモニタリングを行っている。このうち揮発性有機化合物(VOC)については、環境省が示した測定マニュアルにより毎月1回24時間採取法による測定を行い、年平均値より汚染状況を評価しているが、調査地点周辺に発生源がある物質では月毎の濃度に大きなバラツキがあるため、より平均的な汚染状況を把握し、評価する必要がある。
 一方、VOCが関連すると考えられる事故・苦情等も発生しており、その発生源や原因物質の解明にあたっては、各地域の平常時のVOCの挙動や季節的な変動等を把握しておくことが極めて重要である。  
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.2
 5評価1名 4評価4名
外部評価委員のコメント  ・効率的に進めていただきたい課題である。
 ・黄砂の時期との関連も調べていただきたいと思います。
 ・排出抑制対策のためにも地域特性の把握は重要。
 ・化学工業が盛んな都市が多いので、山口県にとって重要な課題である。
 ・市という小さな単位でも地域特性が大きく違う。きめ細かな対応のためにもセンターが行うにふさわしい研究である。
 ・PRTRの大気排出量が最も大きい防府市は何故対象にならないのか。
 ・効率的に進められて、個々の工場への適切な指導に結びつけられるような成果を期待する。
 ・過去の研究実績を踏まえての研究計画ということで期待できる。
 ・排出工場等に対する適切な指導に結びつけられたい。
 ・地域ごとの基準値の把握のデータを長期間に渡って計測することが、危険度の判定には必須ですので、県内に多数の計測地点を作っていただきたいと思います。
 ・研究前段の作業として、近隣に発生源のない場所をサンプリング場所とすることが出来ないか再検討されたい。
 ・平均的汚染状況や地域特性を把握しておくことは、事故時の迅速対応に必要であり、実績を踏まえての研究として成果を期待する。
調査研究担当部    環境科学部
課題(番号)  2−(6)
 重油等抜取り検査における測定可能試料拡充に関する検討
調査研究等の目的  当センターでは、大気汚染防止法に基づく硫黄酸化物に係る総量規制基準等の遵守状況を把握するための重油等の硫黄分析を行っており、現在の検査対象は主に重油、石炭、コークスである。
 しかし、近年、使用される燃料は固体燃料では木質チップや廃棄物固形化燃料(RDF)、液体燃料では残渣油、副生油など多様化している。
 そこで、これらの燃料の多様化に対応するため、重油等抜取り検査における測定可能な試料の拡充について検討する。  
外部評価
結果
 総合評価 平均 3.4
 4評価2名 3評価3名
外部評価委員のコメント  ・硫黄酸化物濃度は順調に低減してきており、調査研究としてはより必要性の大きい部分、例えば安定型産廃処分場浸出水の微量化学物質の測定などに力を入れるべきではないか。
 ・燃料の多様化に対応した測定技術として今後必要性が高まると思います。
 ・大気汚染防止法に基づいて、新規の燃料についても測定法を確立しておくことは重要である。
 ・木質チップや再生油等が廃棄物由来のものであるならば硫黄分析も意味があると思われる。
 ・本来、基準にかかわる分野は国において行うべき研究であり、本県としてはその必要性を申し入れるべきである。
 ・研究期間を短縮すべきではないか。
 ・新たに対象となるものに含まれる硫黄がどの程度環境に影響を及ぼすものなのかが不明。
 ・硫黄分だけではなく、燃料によっては塩素分、水銀等重金属成分などの成分にも関心を払うべきではないか。
 ・燃料中の硫黄含有量が分かったとしても、実際の抜き取り検査に活用できないものがある。
 ・多種多様な燃料種が使用されている現状から、より的確な順守状況を把握するためには必要な研究と思われる。短期間に成果を出していただきたい。  
調査研究担当部    環境科学部
課題(番号)  2−(7)
 住民参加による干潟環境改善手法の検討(底質酸化による閉鎖性浅海域の生物生息環境の改善)
調査研究等の目的  山口湾では「やまぐちの豊かな流域づくり構想」に基づく干潟再生に向けた取組みとして、椹野川河口干潟自然再生協議会を中心に干潟再生実証試験を実施しておりアサリが増加するなどの成果が見られつつある。しかしながら、試験区以外の生物資源はいまだ少ない状況であること、また、自然再生協議会への多様な主体の参画による協働・連携の維持が懸案となっており、これらの解決には小さくても成果を出せる取り組みを継続することが必要と考えられる。そこで、住民参加型の新たな干潟環境改善手法を検討、適用することで生物生息環境の改善を期し、継続的な干潟再生活動を技術的に支援する。
 
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.0
 5評価2名 4評価1名 3評価2名
外部評価委員のコメント  ・椹野川河口干潟の取り組みは国際的にも評価を受けている。
 ・継続的な干潟再生には住民の理解が必要です。すばらしい活動と思います。
 ・環境保全には住民参加が今後ますます重要になってくるため、よい事例となる可能性が高い。
 ・環境教育には住民参加に積極的に関与しており、評価される。
 ・センターと地域住民との交流ができる活動としても重要と思います。
 ・単に体験学習に終わることのないように、住民参加のあり方をもう少しつめる必要がある。
 ・現場観測だけでは効果の把握が困難なので、他機関とも相談の上、室内実験をうまく工夫していただきたい。
 ・外部資金の導入も行われていて評価できる。
 ・研究経費も集中投下しなければ成果は期待できない。
 ・どの程度の生物生息環境の改善につながるのかが未知数。
 ・上流域からの汚濁負荷をある程度低減しなければ再生は困難と考える。
 ・平成21年度までの研究事業における調査簡易手法との関連を示していただきたい。
 ・より広い一般市民が自然再生事業に参加するようになることを期待する。
 ・住民の協力を得るためには、地域の学校園の子供達にプロジェクトの重要性と研究成果を紹介する場をもうけることが必要と思います。センター職員による出前講義なども、有効ではないかと思います。
 ・住民の環境活動をバックアップする意義は理解できる。
 ・河川から海域にわたる総合的な生物生息環境の改善を視野に入れたグランドデザインをし、継続性のあるものとして組み立てると効果的ではないか。