山口県環境保健センター
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■  平成17年度外部評価結果

1 実施状況
 実施年月日  平成17年12月8日(木)13:30〜17:15
 実施場所  山口県環境保健研究センター大歳庁舎第1会議室 (1F)
 実施委員  浮田正夫委員(委員長)、遠藤克彦委員、島添美葉子委員、田原正美委員、溝手朝子委員
 対象及び評価方法  調査研究課題及び主要な事業ごとに「環境保健研究センター外部評価要綱」に基づき、各評価時期(事前評価・中間評価・事後評価)について、各評価項目ごとに5段階評価を実施。
 評価結果(総合)  平均 4.2(3.2〜4.6)

2 評価及び評価項目
    事前評価  中間評価  事後評価
評価項目  @必要性
 A目的の適合性
 B計画内容等の妥当性
 C経済性
 D目標の達成及び活用可能性
 E総合評価
 @必要性
 A進捗状況
 B計画内容等の妥当性
 C経済性
 D目標の達成及び活用可能性
 E総合評価
 @調査研究の妥当性
 A目標の達成度
 B成果の意義、活用性
 C総合評価

3 評価基準
 評点  評価基準
 良好
 やや良好
 普通
 やや不良
 不良

4 評価結果
調査研究担当部    生物学部
課題(番号)  1−(1)
 細菌性食中毒及び感染症に関する調査研究(バルトネラ属菌の流行実態と検出方法に関する研究)
調査研究等の目的  猫のひっかきや咬傷の後に発病する「猫ひっかき病」は、人と動物の共通感染症として広く認識されているが、その病原体がバルトネラ属菌であることは、1990年代になりようやく明らかにされた。米国での調査によると、年間2万人の患者発生があるとする報告もあるが、我が国では、その実態が把握されていない。また、猫が主要な保菌動物であるがその実態についても未解明である。
 このことから、本研究において、身近な動物である猫や犬のバルトネラ属菌の保菌状況などの疫学的解明及び流行する菌の特徴や検出方法について検討する。
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.2
 5評価1名 4評価4名
外部評価委員のコメント  ・県民が動物を飼うことに必要以上警戒心をもたないように成果をまとめてほしい。
 ・様々な細菌が国外から流入する可能性があり、適切な研究だと考えます。
 ・よく目にする割には不安が先行して過剰反応になっていた分野であり、ニーズは高い。
 ・特に幼い子供を持つ人々に不安感が強いと思われるので、子育て支援関係を通じての的確な注意喚起につながることを期待します。
 ・研究成果を県民に対して平易に解説するシステム(動物愛護センターの活用)を検討してはどうか。
 ・研究的要素の強いテーマであり、論文発表等成果も公表されている点は、評価できる。行政ニーズ、今後の展開という点については多少わかりにくい。
調査研究担当部    理化学部
課題(番号)  2−(1)
 アレルギーに係る特定原材料表示に関する実態調査
調査研究等の目的  アレルギー物質を含む食品については、特定のアレルギー体質を持つ者の健康被害の発生を防止する観点から、食品衛生法に基づき、平成13年4月からその表示について義務づけられているところである。
 また、平成14年11月6日付け食発第1106001号厚生労働省医薬局食品保健部長通知により、これらの検査法(以下、「通知法」という。)が示されている。
 県内に流通する加工食品について、実態調査を実施することにより、表示が適切になされているか確認することにより、県民の健康被害を防止することを目的とする。
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.2
 5評価2名 4評価2名 3評価1名
外部評価委員のコメント  ・成果の広報に留意していただきたい。
 ・食品に関して様々な問題があり、アレルギー食品の問題も重要だと考えます。
 ・食生活を充分に自己管理できない乳幼児〜小中学生を持つ親にとっては関心は非常に高い。遊びに来た子供の友達にアレルギーはないかと確かめておやつを出さなければならないくらいに身近な問題である。
 ・表示ミスは命にかかわることもある重大な問題なので、積極的な公表を。保健センター等と連携して、希望者にメールで一斉送信することなども検討されてはどうでしょう。
 ・いずれ調査対象品目も増えるであろうことから、ある程度実態の明らかになったものは調査部分を民間に移行し、県は監督と指導及び啓発に重点をおく方向性を持つべきだと思われます。
 ・検査能力を持つことには意義を認めるが、違反品発見のための調査の域を出ない。
 ・アレルギーは深刻な問題であり、大量調理を伴う場合(例えば小学校、病院等)は特に重大である。表示どおりでない物が混入した場合にも安全に対処できる手段を開発して頂きたい。
調査研究担当部    理化学部
課題(番号)  2−(2)
 食品中の残留農薬・動物用医薬品等迅速・一斉分析に関する調査研究
調査研究等の目的  食品衛生法に基づき食品中に残留する農薬、動物用医薬品及び飼料添加物(以下「農薬等」という。)に関し、いわゆるポジティブリスト制度*1が、平成18年5月までに施行される。
 今後示されるポジティブリスト制度対象農薬等の分析に的確に対応可能とするとともに、LC/MS/MS(高速液体クロマトグラフ・質量分析計)及びGC/MS(ガスクロマトグラフ・質量分析計)の広範な分析能力を活用した分析手法(ハイスループット分析法*2)を検討し、かつ平行して行うLC/MS/MSの化学物質検索手法を確立することにより、迅速かつ的確な危機管理体制の確立ひいては食の安心安全確保を図る。
(注)
 *1 基準が設定されていない農薬等が一定量(0.01ppm)を超えて残留する食品の販売等を原則禁止する制度
 *2 データベースを活用した低コスト高速度分析法
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.6
 5評価3名 4評価2名
外部評価委員のコメント  ・必要性の高い研究である。
 ・技術移転まで視野に入れていることは評価される。
 ・最近国内では非常に少なくなったとはいえ海外からの食品の流入、農地の残留農薬を考えるとき、短時間に多種の農薬を検出することは非常に重要だと思います。
 ・高いニーズがある。残留農薬のみならず、動物用医薬品や飼料添加物、健康食品中の医薬品などにも展開できるのはすばらしい。
 ・広域での連携をとりながら、地域特性にも対応できる体制だと思う。地産地消農産物等の検証にも期待します。
 ・中国五県での効率的な連携に期待します。
 ・民間や周辺部(九州・四国)の機関等との情報交換を
 ・技術移転を積極的に進め、いずれは官民問わず参加できるデータベースなどの構築につなげてほしい。(データベースには一般消費者もアクセスできるような工夫も。)
 ・他県も協力して進めており、先駆的取り組みであると考える。
 ・成果が他研究者にも認知されれば、行政的価値の高いものとなりうる。
 ・全国的に連携できるシステムを構築してほしい。
調査研究担当部    大気部
課題(番号)  3−(1)
 光化学オキシダン トの挙動解明に関する研究
調査研究等の目的  光化学スモッグの原因となる光化学オキシダントが近年増加しており、その原因は気候変化や東アジア諸国や国内の有害大気物質が増えているためと言われている。
 その原因を解明するため、全国的な共同研究で光化学オキシダントのデータベース化と解析を行っており、本研究では各テーマで原因や挙動の解明を検討し、光化学オキシダントの対策に役立てようとするものである。
 さらに、この共同研究を基に、山口県下の全測定局について光化学オキシダント等の特徴を解析し、山口県の現状、傾向及び問題点を解明する。
 なお、平成18年より九州山口及び韓国との共同調査を行うが、その基礎データとしても使用することとなる。
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.6
 5評価3名 4評価2名
外部評価委員のコメント  ・わかりやすい情報の提供を期待する。
 ・やっと光化学オキシダントの原因物質の究明に光が見えて来た感じがします。中国からの気流の到着が見られる今から重要になるのでは?
 ・ボーダレスな時代を迎え、以前の公害時とはまた違う意味合いで再び啓発が必要な時を迎えていると思う。
 ・小中高生等への環境学習ツールとしての活用も期待しています。
 ・山陰のデータを含めて解析し、大陸の影響など山口県の特徴を明らかにしてほしい。また、県や市町村の姉妹都市等を通じて環日本海での連携を目指してほしい。
 ・山口県が大陸の影響を受け易い条件下にあることを考慮し、研究の充実を期待したい。
 ・今後、中国との共同研究も行っていただきたい。環境NPOとの連携も視野に入れて展開していただけたらと思います。
調査研究担当部    大気部
課題(番号)  3−(2)
 酸性成分の空間分布調査
調査研究等の目的  酸性雨(湿性降下物)が生態系へ影響を及ぼすことが20年ほど前より示唆されているが、近年、ガスやエアロゾルといった酸性降下物(乾性降下物)による生態系への影響が無視出来ないことが指摘されている。また、酸性雨の影響モニタリングとして土壌・植生・陸水への影響調査を実施しており、精確にこれらを評価するためには、湿性降下物量のみではなく、乾性降下物を含めた総合的な調査が必要である。
 そこで全国環境研協議会酸性雨調査研究部会では乾性・湿性降下物を対象とした全国調査を実施しているため、「第4次酸性雨全国調査」に参加し酸性降下物の空間分布について調査することを目的にする。
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.2
 5評価1名 4評価4名
外部評価委員のコメント  ・成果をわかりやすく発表してほしい。
 ・大気がかなりきれいになった今、酸性雨の由来などの原因究明を目的とした調査研究が必要だと思います。
 ・中国の経済発展等とともに、今後、ますます全国的な調査の重要性は増すと思われます。
 ・この研究を通して大陸の影響とそれ以外のものをある程度分離して評価することは可能でしょうか。それらを通して地域特性を浮き彫りにできるとすばらしいと思います。
 ・将来的に環境教育ツールとしての展開も期待しています。
 ・全国のデータが集約されることは、意義深い。
調査研究担当部    大気部
課題(番号)  3−(3)
 緊急時における環境汚染物質のナノ レベル多成分同時分析の検討
調査研究等の目的  事故等により大気中に放出された環境汚染物質の多くは、その種類や排出量が不明な場合が多いため、人の健康や生活環境への影響を予測することを困難なものとしている。そこで、平成17年度に新規導入した加熱脱着導入装置付きガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いて、このような汚染物質のうち硫黄を含む化学物質について、簡単な操作で高感度(ナノレベル以上を目標)、高精度に多成分同時分析する手法について検討する。
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.0
 5評価1名 4評価3名 3評価1名
外部評価委員のコメント  ・緊急時における・・・・というテーマとやや適合していない面がある。
 ・緊急時のすばやい対応は行政の課題である。
 ・緊急時には確かにナノレベルの多成分同時分析が必要だと思いますが、必要なのは緊急時だけでしょうか。もっと汎用性を高めた視野が必要と感じました。
 ・化学物質に暴露することに対する市民の不安はふくらんでいます。硫黄化合物のみならず、幅広い展開を期待しています。
 ・工場火災、化学製品を積んだ貨物の事故、廃棄物の違法な野焼き等、中立な行政による迅速な調査結果の公表が求められています。
 ・市民が暴露する可能性のある化学物質の迅速な分析へ幅広く展開できることを期待しています。
 ・刺激臭騒ぎや交通事故、火災等へすばやく対応するためにも県警や消防等との連携が重要だと思われます。
 ・文字通り「緊急時における環境汚染物質」へ対応できるように頑張ってください。
 ・長期観測が必要である。
調査研究担当部    水質部
課題(番号)  4−(1)
 水生植物 (ヨシ)の有効利用
調査研究等の目的  現在、湖沼等の富栄養化が全国的に進み、それに対し多様な対策が試みられているが、その対策のひとつとして水生植物を利用した水質浄化がある。ヨシは刈り取ることにより富栄養化の防止効果を高めることができるが、刈り取り後の利用法が少ないこともあり、多くはそのまま放置されている。
 また、昨今、循環型社会の構築を目指してゼロエミッションの取り組みが行われており、生ごみの堆肥化も盛んに行われている。
 このような状況において、ヨシの利用法をとおして、水質浄化や循環型社会の構築に関連した環境教育、湖沼等の富栄養化対策及びゼロエミッション(生ごみの堆肥化)に寄与することを目的とする。
外部評価
結果
 総合評価 平均 3.2
 4評価1名 3評価4名
外部評価委員のコメント  ・バイオマス利用関連ではLCEやライフサイクルコスト(LC Cost)などを考慮することが重要である。
 ・社会情勢の現実と理想にずれがあり、むずかしいところである。
 ・もう少し大きな目で水生植物利用することが大切だと思います。これまで河川や湖が富栄養化していましたが、河川を見る限り、かなり変わってきています。10年もしたら河川にヨシは生えなくなるかも?
 ・環境教育ツールとしては評価できます。
 ・家庭用のバイオ型電動生ゴミ処理機は、堆肥の原料となる家庭系生ゴミの組成があまりにも幅広いために対応しきれず撤退するメーカーも相次いでいます。今後も研究を継続するなら、ある程度組成のコントロールが可能な業務用生ゴミ処理機へ移行すべきでしょう。
 ・残念ながら現段階では、きっかけづくりとしての環境教育ツールです。
 ・葦(ヨシ)の有効利用ならもう一歩踏み込んでバイオマスエネルギーやバイオマスプロダクツの方面へ展開すべきだと思われます。
 ・利活用困難
 ・総合的環境負荷軽減という観点が必要なのではないか。活用の一例として参考になると思う。
調査研究担当部    水質部
課題(番号)  4−(2)
 有害化学物質の環境中挙動
調査研究等の目的  人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質については環境保全上の観点から、その環境中濃度を把握し、挙動を解析する必要がある。近年、事業所からの化学物質排出実態が「特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律」(以下、「PRTR法」という。)の施行により、把握できるようになった。
 よって、それらの中で環境中への排出量の多いもの及び平成10年環境庁提唱の要調査項目から環境への負荷の大きい物質を選択し、環境中濃度及び挙動を解析する。
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.2
 5評価2名 4評価2名 3評価1名
外部評価委員のコメント  ・成果のわかりやすい広報を期待したい。意味合いとも含めて。
 ・河川や湖もそうですが、地下水も重大な問題だと思います。昔なら井戸替えとして井戸の水を大量に汲み出す作業がされましたが、今はそのようなことは行われていません。
 ・確認調査が必要なのでは。
 ・環境中の実態調査としては成果が得られているが、挙動解析というには不充分だと思われます。
 ・把握できた実態とPRTR法に基づく届出等とを考えあわせた分析結果の公表が望まれます。有害化学物質管理の徹底に大きな力となると思います。
 ・長期的視点に立って継続すべき課題であると思います。潮流の専門家等も交えてぜひ挙動の解析を。
 ・追跡評価は必要ないが、継続した実態調査、研究は必要なのでは。
 ・常時監視的な視点での調査が必要
 ・調査対象地域の拡大により、更に充実するのではないでしょうか。
 ・挙動把握 ただし、対地上水の状況把握も必要
調査研究担当部    大気部 水質部
課題(番号)  5−(1)
 LC/MSによる化学物質分析法開発 (環境省委託)
調査研究等の目的  有害化学物質の環境中での濃度を把握するため、化学物質環境汚染実態調査の重要性は今後もますます注目されるものと思われるが、調査対象物質の中には分析法が確立されていないものが多い。特に難揮発性あるいは高極性の物質は汎用の分析法であるガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)による分析が困難であるため、GC/MSを相互補完する機器として高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)による分析法の検討が必要である。
 そこで、環境省が実施している化学物質分析法開発調査の対象物質の中から物質選定を行い、前処理法を含む新たな分析法を開発する。
外部評価
結果
 総合評価 平均 4.2
 5評価1名 4評価4名
外部評価委員のコメント  ・必要性は大きい。  ・項目の選択が重要であると思われる。
 ・社会的ニーズは十分にあると思います。地道な研究なので息の長い解析が必要だと思います。LC/MSが購入できるとよいと思います。
 ・市民に不安の広がっている化学物質対応にとって分析手法の開発は重要な課題です。
 ・対象物質はなるべく山口県に関連のありそうなものを。
 ・人体がより直接的に暴露・摂取しやすい物質を優先的に。