感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き
真菌(糸状菌)の四類感染症
1)はじめに
真菌の中では病原性が強いコクシジオイデス症が四類感染症に分類されている。
2)真菌(糸状菌)の消毒
ポビドンヨード,次亜塩素酸ナトリウム,フタラール,過酢酸,グルタラールを使用する。
3)疾患の特徴,媒介経路,感染防止
- コクシジオイデス症
米国南西部(中心はアリゾナ,カリフォルニア)から中南米各地の風土病であり,病原体は二形成真菌に属するコクシジオイデス・イミチスである。
本菌は土壌中で菌糸状に発育し,感染型である分節型分生子(単細胞)を形成する。
流行地において,空中に浮遊する分節型分生子を吸入することにより,肺に初感染巣が形成される。
症状は咳や発熱など,感冒に類似しているが,全身感染に進展すると死に至る場合もある。
細菌検査室における感染防止上,最も大切なことは,被験者の流行地への渡航歴の把握であり,本感染症が疑わしいものについては培養の段階から専門家に依頼する必要がある。
一般の細菌検査室で本菌を不用意に培養した場合,分節型分生子の吸入による感染事故(検査室内感染)が起こりやすく,きわめて危険である。