感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き
蠕虫の四類感染症
1)はじめに
蠕虫とは線虫類,吸虫類,条虫類を指すが,その中で条虫類に属する単包条虫および多包条虫の感染に起因するエキノコックス症が四類感染症にあげられている。
2)エキノコックスの消毒
エキノコックスの虫卵は消毒薬に対する抵抗性がきわめて強いが,加熱あるいは冷凍処理によって不活性化することができる。
3)疾患の特徴,媒介経路,感染防止
- エキノコックス症
日本では北海道に多包条虫が分布している。
終宿主であるキタキツネやイヌなどの糞便中に排出された多包条虫の虫卵が,水や食物,手指を介してヒトに経口感染する。
摂取された虫卵は肝臓で包虫として発育して病巣を形成し,進行すると肝腫大などの症状を起こす。
肝以外にも,肺,脳,骨などあらゆる臓器に寄生し,障害を引き起こす。
感染防止としては,野生のキタキツネなどにさわらないこと,その糞便で汚染されたものを避けること,有病地では山野の生水を飲まないことなどである。
また,飼い犬の感染防止も重要である。