感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き
原虫の四類感染症
1)はじめに
原虫は動物界に属する単細胞微生物であり,細胞壁はない。
四類感染症にはマラリアのみが該当する。
三日熱マラリア,卵形マラリア,四日熱マラリアなどでは生命の危険を及ぼすことはない。
しかし,熱帯熱マラリアでの薬剤耐性化が問題となっている。
2)原虫の消毒
通常の接触では二次感染はないと考えられるため,器材の消毒は用途に応じた処置を行う。
クリティカルな領域への使用器材は滅菌を行い,セミクリティカルな領域への器材は高水準消毒薬を使用する。熱水消毒が推奨される。
3)疾患の特徴,媒介経路,感染防止
- マラリア
病原体として,熱帯熱マラリア原虫,三日熱マラリア原虫,四日熱マラリア原虫,卵形マラリア原虫の4種類の原虫がある。
熱帯熱マラリアは治療薬剤に対して耐性があり,致死的になる場合がある。
感染経路は感染しているハマダラカの体内で増殖した原虫が,唾液腺にスポロゾイドとして移行し,ヒトを刺した時にスポロゾイドがヒトの体内に注入される。
その後,肝細胞内で増殖したメロゾイトが赤血球内に侵入して発症する。
症状は,発熱,頭痛,悪寒,倦怠感,関節痛,消化器症状,咳などの呼吸器症状がみられる。
脳症,肺水腫,急性腎不全,黄疸などの重症化例もある。
感染経路として,輸血や針刺しによる感染の報告もあるため,標準予防策を厳守する必要がある。