Home
発生動向
感染症情報
予防接種
届出基準
予防計画
感染症情報
インフルエンザ
ノロウイルス
AIDS
SARS
腸管出血性大腸菌感染症
麻しん
百日咳
海外で注意すべき感染症
滅菌・消毒の手引き
感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き
■ 三類感染症
腸管出血性大腸菌感染症
腸管出血性大腸菌感染症
はじめに
Escherichia coli
O157:H7(O157)は,腸管出血性大腸菌(
Entero-hemorrhagic E.coli
; EHEC)に属する下痢原性大腸菌である。 ヒトの腸管に常在する大腸菌とほぼ同様であるが,ベロ毒素を産生する点で異なる。
感染が成立する菌量は約100 個と少ない。 ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌はO157 が最も多いが,それ以外にもO1,O26,O111,O128,O145 などの血清型の一部の菌がベロ毒素を産生する。
腸管出血性大腸菌感染症では,無症状から軽い腹痛や下痢を伴うもの,さらには頻回の下痢,激しい腹痛と血便などとともに尿毒症や脳炎により死に至るものまでさまざまである。 有症状者の約6〜7%は,初発症状から2週間以内に溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome; HUS)や脳症を発症するため注意が必要である。
感染経路
感染経路は菌に汚染された飲食物を摂取するか,患者の糞便で汚染されたものを口にする経口感染である。 ヒトからヒトへの二次感染を起こすこともある。
患者への対応
感染力,罹患した場合の重篤性などについて,総合的な観点からみた危険性は高くないが,飲食業などの職業を介して,集団発生を起こしうる感染症である。 したがって特定職業への就業制限が行われ,臨床症状に応じて入院の可否を決定する。
手術対策
腸重積や急性虫垂炎として診断されることがある。 手術中に患者の排泄物がなければ特別な処置は必要としない。 術中に無意識に排泄物が出ることがあるので,あらかじめ紙おむつを当てておく。
手術終了後の室内清掃では特別な消毒薬は不要であり,清掃を主とした整備を行う。 麻酔関連器材,手術器械の使用後処理も日常の方法でよい。
医療従事者への注意
接触感染の予防には手指の洗浄・消毒が最も効果的であり,患者の排泄物の処理にはゴム手袋を使用する。 患者の糞便に触れた後は手袋をはずし,直ちに流水と石けんで十分に手洗し,速乾性擦式アルコール製剤にて手指消毒をする。
患者が自分で用便をした後の手指消毒の指導も徹底する。
汚染物の消毒・滅菌
(1)器具
耐熱性の器具はウオッシャーディスインフェクターなど熱水を使用した洗浄装置で処理する。 もしくは,素洗い後に80℃以上の熱水に10 分間以上浸漬する。 その後,器械組みして高圧蒸気滅菌など,通常の滅菌を行う。
非耐熱性のものは,流水による洗浄の後,薬液消毒または酸化エチレンガス滅菌,過酸化水素ガスプラズマ滅菌などにて滅菌する。 消毒薬として,アルコール系消毒薬,両性界面活性剤,ビグアナイド系消毒薬,塩素系消毒薬などが有効である。
(2)患者環境
消毒する重点領域は,患者の使用したトイレ,洗面所である。 患者が用便した後はトイレの取っ手やドアのノブなど,直接触れた部位を中心に消毒する。
第四級アンモニウム塩,両性界面活性剤などの消毒薬による清拭消毒が中心となる。 消毒薬の散布や噴霧はしない。
患者が使用した寝衣やリネンは,家庭用漂白剤に浸漬してから洗濯する。 便汚染のあるシーツなども大きな汚染を水洗除去してから,同様に漂白剤に浸漬してから洗濯する。 その他の物品は煮沸消毒または消毒薬による消毒を行う。 食器は洗剤と流水で洗浄する。
患者の入浴はできるだけ浴槽につからず,シャワーか掛け湯を使用する。 家族が入浴した最後に入り,他の者と一緒に入浴しないようにする。 最後に風呂の水は流しておく。 バスタオルは家族と共有しない。風呂桶の消毒は必要ない。
患児が家庭用ビニールプールを使う場合は,他の乳幼児とは一緒に使用せず,使用毎に水で洗って交換する。 消毒の必要はない。
患者がいる家庭では,なま物の摂取はひかえ,必ず加熱(75℃・1分間または100℃・5秒間の加熱)して食物の中心部まで熱が十分届くように調理する。 また,調理する者の手洗いの励行とまな板,包丁,食器,ふきんは熱水消毒する。
(3)分泌物,排泄物
分泌物や排泄物を消毒する場合は,水洗トイレ槽に第四級アンモニウム塩を最終濃度0.1〜0.5%になるように注ぎ,5分間以上放置後に流す。 便の付着した物品の消毒は,糞便を洗い流した後に熱水もしくは家庭用漂白剤,第四級アンモニウム塩などで消毒する便器も同様に消毒薬で清拭消毒する。
△ このページのトップへ